加藤容疑者の弟が『週刊現代』で告白

事件の様子が明らかになってきています。が、背景はまだまだ整理されていない状況です。



 「週刊現代」(講談社、6/28)の、『秋葉原通り魔 弟の告白 「狂気の兄と、歪んだ母の愛」』という記事の中で、加藤容疑者の弟の手記が掲載されています。



 こうした記事を読むと、犯行を実行する背景には、一定の理由があることはわかります。もちろん、共通する背景を持っていても必ずしもするわけではありません。しかし、そうした共通の背景から、実行に移してしまう人がいるのもたしかです。



 簡単に触れると、先生にウケるように、母親が作文を添削していたようです。加藤容疑者が携帯サイトの掲示板に書き込んでいた内容と一致しています。弟はそれを「検閲」と読んでいたようです。



 これだけみると、母親をせめてしまいそうですが、先生も、そうした想定内の内容の作文しかほめられないことも問題がなくはない。



 男女交際の禁止も、小さなころから言われていたようです。単に顔でモテないというよりは、小学校のころから恋愛を禁止されれば、恋愛を意識したコミュニケーションができなくなるのは当たり前のような気がします。まさか女子からの年賀状までさらされるとは思わないことでしょう。それだけ禁止のメッセージがあった、ということでしょう。



 テレビもゲームの制限が強い。「ドラえもん」と「日本昔ばなし」だけが許され、ゲームも土曜日に一時間だけ。欲しいものを買うのはすべて許可制。そんな中で、オタクになるはずがない。せめて、オタクになれていたら、もっと楽になれたんじゃないか、と思えるほどです。



 こうした背景を見てみると、私が取材している「生きづらさ」を抱えた若者たちと共通するところが非常に多いことがわかる。



 「AERA」(朝日新聞出版、6/23)では、『アキバの「彼女」と借金』とのタイトルの記事があります。5月中旬に、「サイトで知り合った女性がいる」と同僚に言っていたといいます。その「彼女」が秋葉原に通っていた、といいます。しかし、その関係に挫折したのかのような書き込みもあった、という。失恋が直接の引き金になったのだろうか。



 ただ、同級生の証言によると、中2のときに彼女がいた、という。加藤容疑者は「彼女がいない」「それがすべての元凶」と書き込んでいたが、実際には恋愛経験があったようだ。書き込みは自虐的にふるまうための作法だったのか。あるいは、ダメな自分を作り上げるために、必要だったストーリーなのか。



 ちなみに、「AERA」では、『「男男格差」の理不尽』という記事の中で、加藤容疑者の携帯サイトへの書き込みについて、私のコメントが載っています。



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