相談しただけで罪?

 「団体」として、ある犯罪の相談をしただけでも罪に問える「共謀罪」を刑法に導入しようとする動きがあります。今国会では継続審議となりましたが。きょう、衆議院第1議員会館に行ったのは、その共同声明の発表があったからです。

 共謀罪というのは、別名、相談罪。なにをもって「団体」とするのか、何をもって「相談」とするのか。すごく曖昧な法律です。
 法務省の解説ページは
 http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan23.html

 9・11での国際テロ、自公政権による新保守主義政治などが影響しているのでしょうか。共謀罪の導入は、思想信条の自由を奪う可能性が指摘されています。これは、「共謀」しただけで罪になり、準備や実行をしなくても適用されます。ちなみに、現行法でも「謀略罪」があり、8種類の罪に関しては相談しただけでもだめですが、共謀罪は615種類の犯罪の相談で罪になります。

 今朝の朝日新聞では、このことが書かれており、立案にかかわった椎橋隆幸・中央大法科大学院教授(刑事法)は、「共謀罪は思想の自由の侵害にあたるか?」と聞かれ、「あたらないし、そういうものは許されない。共謀罪は具体的に共謀する行為を処罰するのであり、考えたことを処罰するわけではない」と応えています。

 厳密な解釈を捜査機関がするだろうという信頼があれば、この答えも納得いでしょう。でも、現場レベルでどのように行われるかは別問題です。立法の趣旨が治安情勢とのからみで、いくらでも解釈が変更可能な国家であることはこれまでも、これからも一緒であるでしょう。

 それにしても、この法案は問題があるにもかかわらず、メディアや市民運動団体、労働団体の反応はいまいちです。そのため、この動きの事務局にさせられてしまいそうです。

 但し書きもすごいです。
 「ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。」
 スパイ歓迎ってことですね。

今回の法律では、

 死刑又は無期若しくは長期4年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪に当たる行為で、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀すること(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案6条の2第1項各号)。

 死刑又は無期若しくは長期4年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪に当たる行為のうち、団体に不正権益(同法3条2項)を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を共謀すること(同法案6条の2第2項)。

 となっています。
 だから、懲役あるいは禁固4年以上の罪、となるものが適用されます。  たとえば、
 http://www1.neweb.ne.jp/wb/zinken/kyoubou.html  のような罪が適用されます。

 近代刑法は、行為を罰するのであり、思想・考えを罰するものではない。合意というのは、まだ行為ではないです。合意そのもの罪に問うということは、合意形成の中で、つねにスパイ活動が必要になります。この法律を厳密に適用しようとすれば、どんな団体であれ、どのような合意の結果になるものであれ、スパイが常駐するようなものです。