12月9日の閣議後に開かれた「青少年育成推進本部」で、「青少年育成施策大綱」が決定されました。

 青少年健全育成ホームページ
http://www8.cao.go.jp/youth/index.html
 青少年育成施策大綱(平成15年12月9日推進本部決定)(PDF形式)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/yhonbu/taikou.pdf

 基本理念で、
 1)現在の生活の充実と将来への成長の両面を支援
 2)大人社会の見直しと青少年の適応の両方が必要
 3)すべての組織及び個人の取り組みが必要
 となっていて、これまでの姿勢よりも進歩したように感じます。

 個別問題でも大枠では、これまでの施策を繰り返し述べているものが多いですが、少年事件での、触法少年(14歳未満で刑罰法令に触れた少年)への加罰化の検討が組み込まれました。
 また、心の問題についても、専門機関等における相談の充実がうたわれていますが、専門機関だけで任せられるのか。「心の専門家はいらない」という本を書かれた小沢牧子さんの視点とはずれています。たしかに専門家は必要な面はありますが、隔離・選別的な扱いになる危険もあるため、専門家任せはよくないとは思うのですが。
 さらに、有害環境については、さらなる取り締まりが強調されていますが、有害の基準があいまいであることは、これまでとかわりません。

 みなさんはこの大綱をどう読むでしょうか?
 わたしは、一歩前進・一歩後退ではないか、と思うわけです。将来のために我慢せよ、のような未来だけのために現在を犠牲にする姿勢は基本理念ではなくなった面は評価すべきだと思っています。しかし、大綱にあるような触法少年の加罰化や心の問題の扱いは、ノーマルではない青少年の扱いを、社会から排除してしまいがちな面があるからです。インクルージョンの姿勢=ノーマルではない青少年も社会の中で包み込み=が希薄と思ってしまいます。