監禁王子、全面否認

 いわゆる「監禁王子事件」の初公判がありました。被告は全面否認ですね。
 たしかに、家出をするかしないかは被害者の問題ですが、その家出の際、どのような態度を取ってきたかは、被告の責任があります。その際、「不法には監禁しておりません」との発言は、同意だったと弁解するのでしょう。
 この心理は、拙著「[ケータイ・ネット]を駆使する子ども、不安な大人」でもふれていますが、被告は、被害者の心の傷にうまく入り込んでいます。そのため、本人が思った以上に心理操作ができた可能性もあります。もしかすると、操作する側の被告本人でさえ、同意だと勘違いさせるどうまくいっていたのかもしれないです。
 今後、検察側はどのような出方をするのでしょうか?



 監禁4件「否認します」連続女性被害の小林被告初公判

 東京都内のマンションなどで4人の女性が監禁された事件で、監禁傷害罪などに問われた無職小林(石島に改姓)泰剛被告(25)の初公判が19日、東京地裁高橋徹裁判長)で開かれた。
 小林被告は「すべて否認します。不法に監禁はしておりません」と述べ、起訴事実を否認した。
 一方、検察側は冒頭陳述で、小林被告が「逃げたら家族も皆殺しにする」などと女性を脅迫した上、後で「監禁ではない」と言い逃れが出来るよう、自分の意思で被告と同居するという誓約書を書かせたり、親に手紙を書かせたりする工作をしていたと指摘した。
 冒頭陳述によると、小林被告は女性を「メード」「家畜」などと呼び、許可を得ずに行動すると、「しつけ」と称して気絶するまで暴行。検察側は、被害女性のうち3人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負い、事件のことを思い出すと呼吸困難やめまいなどの症状が出る被害実態を明らかにした。
 法廷に現れた小林被告は、真っ白なスーツ姿で、傍聴席を見回すようにして被告席に着いた。逮捕時の長髪をそのまま伸ばし、しきりに前髪をいじるなど、容姿が気になる様子。起訴状朗読の間、証言台の前で自分の意見陳述書を見直したり、両足の重心を変えて立ったりするなど、落ち着かない様子だった。
 罪状認否では、用意した書面を20分にわたって読み上げ、「(被害者と)一緒にいたことは事実ですが、いつでも逃げることは出来た」「傷害を負わせたことはありません」など、起訴事実を細かく否定した。
 弁護側は、検察側が請求した証拠のうち、被害女性の供述調書をすべて不同意とした。このため、検察側は被害女性の証人尋問を請求する意向を示した。
 起訴状によると、小林被告は2003年12月から04年12月にかけ、<1>少女(当時17歳)を青森県五所川原市内などのホテルに3日間監禁<2>少女(同18歳)を東京都内のマンションなどに約3か月間監禁<3>女性(同22歳)を都内のマンションに約4か月間監禁し、腰の骨を折る3か月のけがなどを負わせた<4>女性(同23歳)を都内のマンションに10日間監禁し、<1><2><3>の3人にはPTSDを負わせた。

         ◇

 小林被告は、今回の事件後、札幌市内の空手道場の館長との養子縁組を解消されており、現在はかつての結婚相手の「石島」姓を名乗っている。
 事件の被害女性の1人は、監禁が原因で深刻なPTSDを負い、約1600万円の損害賠償を求める民事訴訟東京地裁に起こした。関係者によると、今も当時の恐怖から抜け出せず、PTSDの治療のために通院中。「事件のことは思い出したくない」と話しているという。
 小林被告は、4年前にも北海道で知人女性(当時19歳と21歳)に対する傷害事件を起こし、03年8月、札幌地裁から懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を受けた。この事件でも、自分を「ご主人様」と呼ばせるなど主従関係に置き、女性が要求に応じない時は、「お仕置き」と称して日常的に暴力をふるっていたが、公判では「合意の上だった」と主張していた。
(2005年12月19日13時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051219it04.htm