動かない警察、連絡しない学校

 兄貴の長男Aが、先日、ホームから落ち、電車を15分止めたらしく、JRから厳しく叱られた。



 どうやらAは自分から落ちたのではなく、同じ高校に通うあるいじめグループ?に突き落とされたらしいのだ。随分前からちょっかいだされていた。決して「友達同士の悪ふざけ」ではない。突き落とした時に、「オレがやったと言うなよ」と逃げたという。

 そのため、Aは電車の運転手に叱られたとき、自分の名前と住所等しか言わなかった。しかし、近くで一部始終を見ていた別の生徒が、「Aくんのせいになるのはおかしい」と学校側に訴えた結果、学校から謝罪があったらしい。「厳重に処分しますから」と。



 でも、電車がくるとわかっていて、突き落としたとなれば、殺人未遂ではないかと。たしかに、故意だとしたら、殺人未遂。未必の故意くらいは成立するとも思える。このままだまって見過ごすわけにもいかない。兄夫婦は、まず、突き落とされた現場のJR黒田原駅に聞きにいくと、「電車が止まっているのは見えた。しかし、事実関係は分からない。高校生が騒いでいるようだったので、高校に電話をしたら、事実を調べるとのこと」だったらしい。



 そして黒田原駅は再び高校に電話する。すると、調べた結果を、電車の行く先である黒磯駅に報告したらしい。黒田原駅は、車掌区の郡山駅に「14分遅れ」だけを伝えた。現場の黒田原駅は、いったい何が来たのかはわからない、という。事実報告があるのは、黒磯駅郡山駅だということだけがわかった。駅に監視カメラはない。



 ちなみに、現時点で学校からの処分等の報告はない。また、加害者の家からもこの時点では、なんの謝罪もない。兄曰く、「加害者の家から何の謝罪もないこと自体がおかしい」。この時点で、もう自主的に事実関係を調査するのを諦め、警察に告訴する方向になった。兄夫婦と長男Aは、黒磯警察署に出向くと、警察側は、その件をすでに知っていました。聞いてもいないのに、高校名や加害者の名前も警察から出た。



 しかし事件化しない方針らしい!

 警察によると、悪ふざけであること、けがをしていないこと、通常の運行をしていれば止まれる場所であったこと、JRからも被害届けが出ていないことなどをあげ、「すべての法律に違反しないし、加罰性がない」と話したらしい。



 この件はまったく誰も動かないのだ、と思ったので、私のアドバイス通り、兄貴は下野新聞那須塩原支局に電話を入れたのでした。



 すると、支局員は関心持ったようで、取材をすることになる。しかし、兄貴が電話を切った約30分後、加害者の親から電話が来たそうです。

 「いやー、うちの息子がやっちゃいまして・・・。すみませんねえ」

 と、悪びれる様子もなく、謝りの電話があったそうだ。電話がくるの、タイミングよくないか?勘ぐれば、警察に行った後、もしかすると、警察が高校に電話をして、高校から加害者の親に電話がいったんじゃないか?と思う感じでもある。

 どうやら、加害者の親は父親のみの父子家庭。仕事で忙しく、息子のやったことを気がついたのは、事が起きてから数日経った後だったらしい。

 「うちの息子は自主退学させましたので、これで勘弁してくださいよ」

 と言って来た。ことの重要さが分かっていないと判断した兄貴はいろいろ詰め寄るが、その詰め寄り方が甘いと思った兄嫁はイライラ。そして、ついに、電話を代わり、怒り爆発したらしい。

 ちなみに、自主退学の話は、学校からの連絡はなし。



 そうこうしているうちに、下野新聞那須塩原支局の記者が実家までやってきて、取材をした。さて、どうなることやら。



 それにしても、暴行罪は成り立つのではないかと思われる。



 刑法第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。



 もしくは、危険往来罪も適用できなくもない。



 刑法第125条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する。



 警察の判断としては、違法性がないと言ったが、それはまったくの謝り。ただ、加罰性はたしかに問われる。でも、警察が被害者に聞く前に判断することでもないように思う。いったい何のための警察権力なのか。被害者が殺される等がないと動かないのか。



 ちなみに、加害者の突き落とし件、もしくは類似の件は今回が初めてではない。他の生徒も被害にあっている。父親はまったく知らなかったようだ。自主退学で済まそうとする学校も、腐ったミカンの論理なのか。