福祉が人を殺すとき

「福祉」が人を殺すとき?ルポルタージュ・飽食時代の餓死

「福祉」が人を殺すとき?ルポルタージュ・飽食時代の餓死

寺久保 光良





介護疲れと生活苦、母親承諾殺人の54歳に猶予判決



 介護疲れと生活苦から、認知症の母親(当時86歳)を本人の承諾を得て殺害したとして、承諾殺人などの罪に問われた長男の京都市伏見区納所町、無職片桐康晴被告(54)の判決公判が21日、京都地裁で開かれた。

 東尾龍一裁判官は「母親の同意を得ているとはいえ、尊い命を奪った刑事責任は軽視できない」と有罪を認めたうえで、片桐被告が献身的に介護をしていたことなどの事情を酌量して、懲役2年6月、執行猶予3年(求刑・懲役3年)とする判決を言い渡した。

 判決によると、母親と2人暮らしだった片桐被告は、2005年4月ごろ、母親の認知症が悪化したため、介護のために昼夜が逆転する生活が続き、昨年9月に勤務先を退職。生活保護申請のため、福祉事務所を3回、訪れたが、いずれも受給は認められなかった。

(読売新聞) - 7月21日14時32分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060721-00000303-yom-soci





 こんな裁判がありました。記事では、「介護のために昼夜が逆転する生活が続き、昨年9月に勤務先を退職。生活保護申請のため、福祉事務所を3回、訪れたが、いずれも受給は認められなかった」とありますが、どうやら失業保険が一時出ていたようです。でも、保険の給付がなくなった後には被告は事務所を訪れていない。3回も門前払いだったために、資格がないと思ったようだ。



 そういえば、「『福祉』が人を殺すとき」という本を大学時代に読んだことを思い出す。生活保護行政はまったくかわっていないのだな。



 それにしても、同じ人を殺す事件で、社会の見られ方は違う。この事件は生活保護行政が批判をされているらしいが、「秋田児童殺害事件」は、誰も教育行政や福祉行政を批判しない。なぜだろうか。