児童虐待における警察権限の強化

 児童虐待に対処するために警察権限の強化、という方向になったようです。「積極的な立ち入り」という意味では評価すべきですが、その主体が「警察」」だというのが、ちょっと疑問。児童相談所の立ち入りでは強制力が行使でないのなら、児童相談所の機能強化をすればいい。少なくとも、児童相談所が「主」で、警察はあくまでも「従」であるほうが、この問題を複雑化させないように思う。警察はあくまでも「事件」かどうかの捜査であるから、そこにケアの発想は薄い。基本はあくまでケアであって、事件となるのは緊急性等の稀なケースとしてみてほしいものだが。やはり、児童虐待に関して、警察庁が主体になるのではなく、厚生労働省が単独で行うのではなく、子ども省のような総合対策をするような部署が必要なのだろう。内閣府に置いても良いけど・・・。





児童虐待、警官の立ち入り強化 警察庁通達

2006年09月27日00時52分

 児童虐待事件の急増を受けて、警察庁は26日、全国の都道府県警察に対して、虐待によって児童の身体に危害が及ぶ恐れのある場合に警察官の積極的な立ち入りを求める通達を出した。児童相談所(児相)の立ち入り調査では強制力の行使ができないために事態の深刻化を許すケースもあり、同庁は児童の安全確保の見地から児童虐待に主体的にかかわっていくことにした。

 通達は、(1)警察官職務執行法で人の生命・身体に危害が及ぶ恐れがある場合に認められる建物への立ち入りや、関係者の事情聴取、令状に基づく家宅捜索を活用し、被害児童を保護する(2)警察署と児相間だけでなく、上部機関の警察本部と都道府県の福祉部局間でも情報交換を密にする??などを指示している。

 児童虐待防止法では、虐待に対処する主たる行政機関は児相で、警察は児相が児童の安全確認や一時保護を行う際に援助を求める対象としてしか記されていない。04年の同法改正論議では、「令状に基づかない警察官の立ち入りは、憲法に定められた住居不可侵の原則に反するおそれがある」として、警察の強制的立ち入りを可能にする条文の盛り込みが見送られた経緯がある。

 一方で、親が児相の立ち入りを拒否したり、居留守を使ったりするケースは後を絶たず、強制力を持たない児相の立ち入りの不十分さがしばしば指摘されていた。

 警職法では、立ち入りの際、社会通念上、相当と認められる範囲に限って、鍵の破壊や妨害者の排除など、実力の行使が認められている。警職法の積極活用によって、「生命・身体への危害の切迫」を警察で独自に判断して、虐待が疑われる家庭に立ち入ることも可能になるという。

 警察庁によると、児童虐待は年々増加。昨年1年間の被害児童数は229人で、7年前の8割増。今年上半期は128人で、上半期として記録を取り始めた00年以降、最多となっている。

 http://www.asahi.com/national/update/0927/TKY200609260440.html