青少年育成大綱が出された翌日、警察庁はこれまでの少年事件での対応を大幅に転換した方針を出しました。

少年でも氏名、顔写真公開 政府の大綱受け警察庁
 警察庁は11日、連続殺人などの凶悪事件で逃走した容疑者を指名手配する場合、少年でも例外的に写真や似顔絵、住所、氏名などの捜査資料を公開する方針を決め、全国の警察本部に文書で指示した。容疑者の氏名が特定されず少年の可能性がある場合も顔写真などを公開捜査する。
 少年の捜査はこれまで原則的に非公開とされてきた。政府が決定した「青少年育成施策大綱」に、少年事件の公開手配の在り方を検討することが盛り込まれたことを受けた対応。14歳未満の触法少年は罰せられないため公開手配の対象にはならない。
 警察庁は、今後の公開捜査について、指名手配した容疑者が少年の場合には「少年自身の保護と社会的利益との均衡、捜査の必要性などを総合的に勘案して判断する」「必要かつ適切と認められる場合には例外的に公開が許される」としている。(共同通信


 これまで少年事件は、少年法により原則非公開でした。しかし、被害者の人権に比べて、加害者の人権が守られ過ぎる、子どもであっても犯罪者だーなどの意見もありました。ただ、こうした政策転換は、これまでの自民党政府でもできなかったことです。自民党単独政権ではできなかった、ある種、右派的な政策がどんどん通過していくのは、自公連立の今。この政策に限らず、自衛隊イラク派遣も似たようなものです。

 さて、この少年の顔写真公開は、すべての事件を対象にしたわけではありません。逃走した容疑者に限っています。緊急性があるという意味で、他の一般人が安全でいられることが、公開しないでいるよりも可能性が高いことが判断できる場合は、仕方がないのかもしれません。
 ただ、こうしたことが警察庁の通達(?)で決まって行くことはどうかと思います。少なくとも、衆議院の青少年問題特別委員会のような場で、議論をし、問題点があるならば、それを汲み取って行くという姿勢が必要ではないか。なぜなら、この政策転換は、少年法の法解釈を変えただけだから。まるで、憲法9条の解釈だけ変えて、イラク自衛隊を派遣するようなことと同じではないか、と思えるからです。