日本陸連は、アテネオリンピックの女子マラソン代表選手の選考で、前回オリンピック金メダリストの高橋尚子を外した。現在の選考方法は、一定の選考基準を事前に発表し、複数の選考レースの結果を踏まえ、決めるというもの。その中で決めるとするならば、前日の名古屋国際のレースを終えた段階で、高橋は厳しい立場にあった。その意味では、今回の選考は妥当だったと思う。
 しかしながら、そもそも、このような選考方法でよいのか。こういう疑問はアトランタオリンピックで、有森裕子と松野明美が代表を争った際にも、言われていたことだ。
 たとえば、なぜ、複数の選考レースが存在するのか。議席数が決められた段階で、各レースの優勝者を代表にすると決めることはできないものか。また、一発勝負として、順に代表にするという考え方も成り立つはずだ。現在のような密室での議論で決めれば、納得がいかない結果になるのだろう。
 選考レースは、気象条件、コース条件はすべて違う。その複数のレースを一つの土台にあげること自体が無理があるのではないか。
 それにしても、前日の名古屋国際女子マラソンで優勝した土佐礼子は、すばらしい走りだった。選考レースの中では、最もよいレースだったと、テレビ観戦していた私は、素直に思う。にしても、あのような土佐の走りを想定して、さらにその土佐が代表に選ばれる可能性を考えていたのなら、高橋も出場していたのではないか。現在の選考方法では、2時間27分台では、高橋は、代表の枠に入ることは厳しいと思っていたはずである。名古屋国際の結果が、平凡なタイム以下であってほしいという期待に賭けた高橋の敗北ということだろう。

高橋尚子が落選 坂本、土佐にアテネ切符
共同通信 [ 03月15日 15時08分 ]

 日本陸上競技連盟は15日、東京都内で理事会、評議員会を開き、アテネ五輪の女子マラソン代表3人を決めた。シドニー五輪金メダルの高橋尚子(31)=スカイネットアジア航空=は選ばれなかった。
 昨夏の世界選手権(パリ)銀メダルで代表権を獲得していた野口みずき(25)=グローバリー=に加え、1月の大阪国際で優勝したホープ坂本直子(23)=天満屋=と、14日の名古屋国際を制した土佐礼子(27)=三井住友海上=が選ばれた。
 五輪連続金メダルを目指していた高橋は、選考レースだった昨年11月の東京国際で終盤に失速し、平凡な記録で2位に終わったのが響いた。
http://www.excite.co.jp/News/sports/20040315150858/Kyodo_20040315a580010s20040315150903.html