拙著「アノニマス ネットを匿名で漂う人々」(情報センター出版局)でとりあげ、共著「僕たちの胸のうち 少年少女が考えた『人を殺す』ということ」(ワニブックス)でもインタビューに応じてくれ、なおかつ表紙にもなっている男性が、数日前、永眠されました。22歳でした。ご冥福をお祈ります。

 彼との出会いは「アノニマス」でも触れています。取材以来、けっこう、オフ会でも会ったり、それ以外でもたびたびあっていました。いろんな人を私に紹介してくれました。そのおかげで、仕事の面でも助かっていました。プライベートでも、楽しい付き合いもできていました。今住んでいるところに引っ越しした際、運転手役を務めたのも彼でした。

 最初のころは、「生きづらさ系」ではありましたが、それほど「死」には近くない人でした。ただ、「死に近い人」たちとシンクロはしてしまう感じではありました。それが「死」を意識するようになったのは、やっぱり、2年前でしょう。元彼女が亡くなったことで、より「死」に共感的になっていきました。詳しいことはここでは避けますが、その元彼女との思い出が脳裏に焼き付き、自責の念にとらわれていました。その後、オンラインで知り合った人が何人かなくなり、ある人の亡骸の前では、はじめて涙を人前で流していました。どんなときも、人前ではいつも笑っていた彼が。

 ここ最近は、「飲みに行こうよ」とか、「(働いているバーに)行きますよ」とか言っていましたが、実現できた飲み会は少なかったですね。「今日は体調が悪い」とか、ドタキャンとかありましたので。先月でしたか、彼が大量服薬が原因で入院したことがありました。退院後、笑いながら電話してきて、「入院しちゃったよ。ICUってあんなに高いんだ!」って話していました。それから何度か、「てっちゃんは、自殺を否定しないから、『死にたい』って言えるよ」と電話で言っていました。まあ、否定しないってのは本当かもしれないけれど、どこかでは「死ぬなよ」ってメッセージは送っていたつもりです。伝わったかどうかはわかりませんが。

 とりあえず、今回はここまで。
 なお、追悼掲示板をつくりました。
 http://hidebbs.net/bbs/haruneko