厚生労働省がようやく重い腰を上げ始めた。自殺防止に関する連絡会議を設置したのだ。そもそも、「自殺」の定義がすごくあいまいです。しかしながら、警察庁統計では98年から、厚生労働省の統計でも03年から自殺者が年間3万人を超えた状況をうけたものだ(このズレは、厚労省が「死亡届」時点で自殺と分かっているものに限っているが、警察庁は「死亡届」後に判明した数も含めているため)。
 それにしても、なぜこんなに遅れたのか。
 子どもの権利委員会最終所見(外務省訳DCI日本支部訳子どもの権利条約NGOレポート連絡会議訳)でも、

 若者の自殺
 47. 本委員会は以下のことを強く懸念する。
 a) 若者の自殺率が高く、増加していること。
 b) 自殺および自殺未遂ならびにその原因に関する質的および量的なデータが欠如していること。
 c) 警察が若者の自殺を取扱う主要な組織の一つとされているという事実。

   48. 本委員会は締約国に、児童相談所、ソーシャル・ワーカー、教師、保健職員およびその他の関係する専門家と連携して、若者の自殺およびその原因に関する徹底的な調査を行なうこと、ならびに、若者の自殺に関する国内計画の開発と実施のためにこの情報を用いることを勧告する。
(DCI日本支部訳)

 とすで指摘されていました。若者の自殺もさることながら、中高年の自殺の深刻さを増しています。  いずれにせよ、せっかく重い腰を上げたのですから、ゆっくりでもいいので、自殺を考えた人にすこしでも役に立つ施策を作り上げてほしいものです。

厚労省が自殺防止会議 施策を概算要求盛り込みへ

 自殺者が年間3万人を超える深刻な状態が続いていることから、厚生労働省は9日、省内で自殺防止対策を話し会う連絡会議を設置した。
 会議は関係部局の部長、課長クラス約15人が出席。職場や地域での自殺予防策や、子どもの自殺率減少策などを話し合った。今後、夏にまとめる2006年度予算の概算要求案に必要な施策を盛り込むことを検討していく。
 厚労省は02年に、中高年の自殺防止のため、うつ病対策に重点を置いた有識者会議の報告書をまとめているが、最近はインターネットで知り合った者が集団で練炭などを使う「ネット自殺」も増加していることなどから、自殺に関する幅広い対策を検討する。
 厚労省が1日発表した人口動態統計(概況)によると、昨年1年間の国内の自殺者は3万227人で、2年連続3万人を超えた。警察庁の統計では3万2325人で、7年連続で3万人を超えている。
共同通信) - 6月9日11時48分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050609-00000081-kyodo-soci