家出掲示板がらみで逮捕者

 いわゆる家出掲示板がらみでの逮捕者が出ました。

 家出掲示板はこれまでにもありましたが、健全育成条例の「深夜に外出させる行為の制限」に違反ということですか。微妙な逮捕容疑ですね。家出そのものが犯罪と誤解をされかねない逮捕だとは思うのですが・・・。

 ちなみに、家出は犯罪ではなく、補導の対象にはなったりします。しかし、あくまでも保護の対象であって、家に帰る・帰らないに関して、強制的な処置は形式的にはありません。

 家出をしている少年少女、家出をしたい少年少女がネットの掲示板を使って宿泊先を探す行為は数年前からありましたよね。今回の逮捕者の場合、「家出少女を助けるのが生きがいだ」と供述しているということなので、善意だったのでしょうね。これで逮捕されるのなら、逮捕されちゃう人、世の中にたくさんいそうですね。



「家出少女泊めるのが生きがい」 ネットで告知の男逮捕

2006年08月31日19時35分

 家出少女を保護者の承諾を得ずに自宅に泊めたとして、埼玉県警川口署は31日、同県川口市芝下1丁目、無職川添勉容疑者(33)を県青少年健全育成条例(深夜に外出させる行為の制限)違反の疑いで逮捕した。「家出少女を助けるのが生きがいだ」と話しているという。

 調べでは、川添容疑者は7月25日午後10時ごろから翌26日午前3時ごろまで、東京都東村山市の女子中学生(15)が18歳未満であることを知りながら、保護者の許可なしに自宅アパートに宿泊させた疑い。わいせつな行為はしていないといい、「人助けだ」と話しているという。

 インターネットの掲示板に「泊まってほしい」と書き込みをし、家出少女の間で「あそこに行けばタダで泊めてもらえる」と知られるようになったという。これまで数人の少女を泊め、九州からきた少女もいたという。今回被害者となった中学生も、家出中に知り合った仲間から川添容疑者のうわさを聞き、10回ほど泊まったという。

 同署が家出少女として女子中学生を保護し、川添容疑者宅に泊まっていたことが発覚した。

http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY200608310277.html




 しかし、埼玉県の青少年健全育成条例の第21条は、

 第21条(深夜に外出させる行為の制限)

保護者は、深夜(午後11時から翌日の午前4時までの間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。

2 保護者以外の者は、保護者の委託を受けず、又は承諾を得ないで、深夜に青少年を外出させてはならない。

3 深夜に営業を営む者及びその代理人、使用人その他の従業者は、深夜に当該営業に係る施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すように努めなければならない。


 であり、罰則は、

 第29条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

(1) 第11条第3項、第12条第3項若しくは第4項、第13条、第14条第1項若しくは第2項、第16条第2項、第17条の2、第17条の3第1項、第18条第1項、第2項若しくは第3項、第18条の2、第18条の3、第19条第2項、第20条、第21条第2項又は第21条の2第1項の規定に違反した者

(2) 第11条の2第3項、第16条の2第5項又は第17条第1項の規定による命令に違反した者


 30万円以下の罰金なのに、逮捕って、どういうことなんでしょうか。

 刑事訴訟法199条では、

第199条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。


 とあり、30万以下の罰金の場合は、住所不定か、出頭しなかった等の理由がないと逮捕できない。ということは、出頭に応じなかったのか・・・。でも、自宅はあるんだから、住所不定ではないよな。謎である。