実名報道の理由

 報道によると、山口・徳山高専女子学生殺害事件で逮捕状が出ていた男子学生(19)が遺体で発見された。奇しくも、週刊新潮で実名と顔首写真が掲載された当日だった。死後、数日経ち、一部は白骨化していた。メディアによっては、これにより、少年の実名を報道した。理由は以下の通り。



◆おことわり◆ 読売新聞社はこれまで、容疑者が未成年のため、匿名で報道してきましたが、容疑者が死亡し、少年の更生を図る見地で氏名などの記事掲載を禁じている少年法の規定の対象外となったと判断したことに加え、事件の凶悪さ19歳という年齢などを考慮し、実名で報道します。

(2006年9月7日23時51分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060907it07.htm



山口高専生殺害:日テレ、テレ朝も実名、顔写真を放送

 日本テレビテレビ朝日は7日、自殺した容疑者の男子学生の実名と顔写真をニュースで放送した。

 理由について両局は、「少年法は非行少年の保護と更生を目的としているが、少年の生存を前提にしており、死亡によって保護・更生の機会がなくなった事件の重大性などを総合的に考慮した」などと説明。日本テレビはその上で「ただ、すべての少年事件について今回の判断を当てはめようとするものではない」としている。

毎日新聞 2006年9月7日 20時56分

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060908k0000m040092000c.html




 理由として、

 1)少年が亡くなり、「保護・更生の機会」がなくなった。

 2)事件の凶悪性・重大性

 3)19歳という年齢

 ということでしょうか?



 よくわからないのですが、1)の「保護・更生の機会」がなくなったというもの。実名報道=保護・更生の機会の喪失、との表明なのか?だとすれば、日本の逮捕段階原則実名報道は、やはり社会的制裁をするという意味なのだろう。

 2)についても、凶悪性はどこで判断するのか。殺人だから?なのか。

 3)は、19歳なので、ほぼ成人ということか。やはり、社会的制裁の意味合なのだろう。



 ちなみに、週刊新潮の掲載理由は



 「徳山高専殺人『19歳容疑者』の隠された『実名と顔写真』」と題する4ページの特集記事の中で、男子学生の実名と顔写真を掲載したほか、逃走に使ったとされる学生の原付きバイクの車種も特定して書いている。

 そのうえで、記事では、山口県警の捜査について「“少年犯”に配慮するあまり、捜査が後手後手に回っている感は否めない」と指摘。「凶悪事件において、犯人の身柄確保以上に優先すべきことがあるはずがない。そのための実名と顔写真の公表は犯人の『自殺・再犯』の抑止にもつながる」と顔写真などを公表した理由を説明している。

 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060907k0000m040124000c.html




 死後実名よりは、まだ納得のいく説明かもしれない。

 たしかに、実名・顔写真掲載が、今回のケースにかぎらず、身柄保護になるかどうかは成人の事件であっても、そうではないことは多い。自殺・再犯の抑止につながるかどうはも、これまでの実名報道でも、それほど説得力はない。

 しかし、主張としてはあるだろうな、とは思う。しかも、週刊誌であるため、新聞やテレビほど、主体的な選択ができるメディアではある。そのため、「見たい人は見れる」ということができるだろう。



 ちなみに、

 10代の声を募集しています。

http://homepage3.nifty.com/sbtetuya/child-kills-parents.html