「ナンパの神様」児童ポルノ製造事件(前)



2007/01/19-20:55 「ナンパの神様」に懲役1年6月求刑=女子中学生にわいせつ−東京地裁

 家出中の女子中学生(14)にわいせつ行為をし、カメラで撮影したとして、児童買春・ポルノ処罰法違反などの罪に問われた情報サービス会社社長石川恭一郎(29)と鳥山翔(23)両被告の初公判が19日、東京地裁(平出喜一裁判官)であり、両被告は「間違いありません」と述べ、起訴事実を大筋で認めた。

 検察側は石川被告に懲役1年6月、鳥山被告に懲役2年6月を求刑、弁護側は執行猶予を求めて結審した。判決は30日。

 検察側は論告で「女子生徒を性欲の対象とみており、身勝手で自己中心的」と述べた。

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007011901028




 この裁判の傍聴に東京地裁に行ってきました。裁判ではまず、鳥山被告、石川被告両名ともに、事実は争わない姿勢を見せました。



 まず、疑問がありました。それは、なぜ鳥山被告のほうが求刑が重いのか?事実認定のところで、その疑問が解けました。検察官の提出した起訴状等によると、以下のようです。



 鳥山被告は3〜4年前に、石川被告が開設していたナンパサイト「ナンパクラブ」を通じて知り合あった。そして、06年8月、鳥山被告は池袋で、被害少女(14)をナンパ。少女を自宅に呼び、飲酒をさせて、王様ゲームをした。そして、性行為に至る。

 石川被告は、『即系物件』の読者でメールを通じて知り合ったYとともに汐留やお台場でナンパの撮影をしていたが、鳥山からの誘いで、乱交パーティーをした被害少女の裸の写真を見せられて、Yが童貞を捨てるチャンスだと思って、Yの同意を得て、被害少女を相手にした童貞喪失のシーンを撮影しようと思った。そのとき、被害少女は「17歳」と言っていた。シーンを撮影した後は、石川被告はそのデータを事務所兼自宅にあるパソコンで保存。レンタルサーバーに保存した。



 *ちなみに、石川被告は、証言台で被害少女のことを、ニックネームで言い続けた。これは、さすがナンパ師だなと思った。



 事実認定は争わないことから、証人は情状証人として、両被告の母親が証言台に立った。



 鳥山被告の弁護人(以下、弁A) 息子さんは高校卒業後、アルバイトをしていたあと、パチスロで生計をたてていたが、知っていたか?

 鳥山被告の母親(以下、母A) はい

 弁A 息子さんの性格は?

 母A おだやかな性格で、暴力的ということではない。

 弁A 2人暮らしということだが、生活を干渉していない?

 母A はい。

 弁A 札幌に住んでいた時に、女性関係は?

 母A 何人か女の子は遊びに来ていたが、一緒に料理をするなどしていましたし、変なことはありませんでした。

 弁A 息子さんがナンパしているのは知っていましたか?

 母A 全然知りませんでした。

 弁A 5月28日に上京してきたのは?

 母A 芸能界に入りたいと言っていた。

 弁A 生活資金は?

 母A アルバイトの貯金があったのと、最初は送金していました。

 弁A 一時、埼玉の親類とのところにいたのは?

 母A 最初親類のところにいて、住まいが見つかり次第、引っ越すという約束だった。

 弁A 拘留中に息子さんから手紙が送られて来たようだが、内容は?

 母A 反省と謝罪。途中から、精神的につらいのか、保釈してほしいということも。それと、ここから出たら、地に足をつけて仕事をしたいと。

 弁A あなたにできることは?

 母A 実家に連れて帰り、仕事をさせます。努力したいと思います。



 検察官(以下、検)の反対尋問。

 検 どんな努力を?

 母A 仕事をみつけさせ、自由にさせない。生活の時間をきちんと決める。話し合いを持とうと思います。

 検 今後、きちんと監督できるのか?

 母A うーん、できるだけ話し合って、どういう状況かを聞こうと思います。

 検 本人が言うことを聞かないときは?

 母A うーん、仕方がないので、別れた主人にお願いするしかないです。同じことを繰り返すのではあれば。



 続いて、石川被告の母親(以下、母B)の証言。

 石川被告の弁護人(以下、弁B) 息子さんはどんな性格ですか?

 母B どんな人でも差別をしない、友達思いです。周りの人を深く理解しようとしている性格です。

 弁B これまでに何か問題を起こしたことはありますか?

 母B ありません。

 弁B 息子さんの仕事を聞いたことがありますか?

 母B ナンパをしていると。そこで、陽のあたらない若者にチャンスを与えていると思っています。



 *さすが、ですね。サンジさんのナンパ論は取材で聞いていたが、母親にも理解されている。



 弁B 本を書いたり、雑誌やTVに出ていましたが

 母B 知っていました。

 弁B どう思っていたのか?

 母B 消極的な若者たちからの手紙を読んでいたので、「救っているな」と思っていました。

 弁B 最近の友達を知っていましたか?

 母B 会話で出てくる程度です。

 弁B 本件をどう思うか?

 母B 年齢を聞いていなかったのですね。それにしても、被害者の親御さんのところに行き、おわびしたい。

 弁B 息子さんは法律に無知?

 母B 私を含めて、その通りです。学ばせていこうと思います。

 弁B 接見は?

 母B 一日おきくらいです。

 弁B 様子は?

 母B はじめは沈んでいて、だんだん明るくなってきました。「失うものが多かった」と申しておりました。

 弁B 雑誌では事実以外のことも書かれていましたが、どう思ったか?

 母B 外に出れないな、と感じていました。

 弁B 出所したら、家族は受け入れることはできますか?

 母B 5年前は一緒に住んでいたので、一からやり直そうと思います。

 弁B 再犯を繰り返さないためには?

 母B 主人ともしっかりと話し合おうと思います。

 弁B どんな仕事をしてほしい?

 母B 文章を書いたり、企画を立てたり・・・。そういう方向で人様のお役に立てたい。



 検察官の反対尋問。

 検 開設していたナンパサイトをみたことは?

 母B ありません。

 検 息子さんは法律的に無知ですが、職業は知っていたんですか?

 母B ナンパは知っていました。

 検 あまり一般的な職業ではないですよね?

 母B 法律に違反しないようにしているとは言っていた。

 検 陽のあたる若者たちを救う、というのはどういうことか?

 母B 消極的で、女性と話せない若者たちに、講習会を通じて、ナンパをする方法や女性と話をする方法を教えていた。感謝の気持ちも届いていた。

 検 それを「救っていた」と?

 母B はい。

 検 近所の人にも話したことは?

 母B あります。

 検 そんな自慢な息子さんの仕事をやめさせるのか?

 母B はい。

 検 監督できますか?

 母B 一緒に暮らす以上、放任とはいかない。話し合って、気をつけたい。



 そして、裁判官の質問。

 裁 お父さんは?

 母B 注意して来なかったのが悪かったと反省しております。

 裁 以前からあぶないとは思っていなかったのか?

 母B 小さな声では言っていました。法律にひっかからないようにと。

 裁 ナンパを職業にするのはまっとうじゃないですよね。わかるね、お母さん。



 その後、被告人質問へ(続く)