ゲーム、ケータイサイトに関連づけた報道か?

気をつけよう!ゲーム中毒 2 (2)

気をつけよう!ゲーム中毒 2 (2)

渋井 哲也





JUGEMテーマ:ニュース




 茨城県土浦市のJR荒川沖駅構内などで3月23日に通行人ら8人が殺傷された事件で、無職男(24)が逮捕された。もともとは出身中学を襲うつもりだった、とか、妹を狙っていた、との報道もあります。



 この事件は、別の事件で指名手配されていた男が事前に犯罪予告をして、地元警察が警戒態勢にある中で起きた事件のため、警察の捜査態勢について疑問視されています。変装をしていたようだが、警戒する警察官の目の前を通ったことで、遺族や地元住民が警察を避難する声をあげています。



 そんな中で、



新作ゲーム所持、三浦さん殺害後に購入か 金川容疑者

2008年03月25日08時14分



 対戦ゲーム好きだったという8人死傷事件の金川真大容疑者が23日に逮捕された際に持っていたリュックサックには、携帯ゲーム機ソフトが入っていたことが茨城県警の調べで分かった。刀を振り回したり、手裏剣を飛ばしたりしながら敵を倒す内容のアクションゲームで、三浦芳一さんが殺害された翌日の20日に発売されたばかりだった。

 同じ中学出身の男性(28)は「普段はおとなしいが、対戦ゲームで負けると急にかっとなる」と話す。ゲーム機をけとばしたり、ぶつぶつ言ったりしている姿を見かけたことがあるという。

 金川容疑者は三浦さん殺害後、JRで東京・秋葉原駅に逃走。本人と分からないようにするため、同駅近くの理容室で髪を切っていた。

 一方、金川容疑者が6年前に卒業した高校によると、在学時は弓道部に所属し、県大会で優勝したこともあった。3年生で部をやめると、打ち込めるものがなくなった様子だった。就職志望だったものの、積極的な就職活動はせず、卒業後はアルバイト生活を送っていたという。

 http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200803240421.html




 といったように、ゲーム所有に関連づけた報道がありました。また、



「定職なく責められた」 家族に不満 土浦事件容疑者

2008年03月25日15時18分



 茨城県土浦市のJR荒川沖駅構内などで23日に通行人と警察官計8人が切りつけられて死傷した事件で、同市中村東3丁目の無職金川(かながわ)真大(まさひろ)容疑者(24)が調べに対し、「定職に就いていないことを責められた」などと家族への不満を供述していることがわかった。同容疑者が家族に不満や殺意を抱く一方で、「人を殺したかった。誰でもよかった」とも供述していることから、土浦署の捜査本部は、家族への感情と無差別殺人事件との関連について慎重に調べている。

 これまでの調べでは、金川容疑者は両親と3人の弟、妹の計6人家族。しかし、家族と会話をしたり、一緒に食事をとったりすることはほとんどなかったという。特に、今年1月、「目標額に達した」という理由で近所のコンビニエンスストアのアルバイトを辞めてからは、自室にこもってゲームに熱中することが多くなったとされる。

 金川容疑者が家族に対して激しい感情を見せたのは、定職に就いていないことなどを批判された時だった。こうした同容疑者の振る舞いに家族も困惑していたという。同容疑者は高校を卒業した後は、複数のコンビニでアルバイトを続けていた。

 一方、金川容疑者は19日に土浦市の三浦芳一さん(72)を刺殺した容疑で逮捕されたが、三浦さん襲撃時に使った文化包丁は今年2月に土浦市内で購入。連続殺傷事件の際、文化包丁と別に用意していたサバイバルナイフも包丁に前後して携帯サイトで購入したとみられる。

 三浦さん殺害容疑について、金川容疑者は「初めは妹を襲うつもりだったが、不在だったので断念した」と供述。その後、母校の小学校を襲おうと近くまで行ったが、同日が卒業式だったためあきらめ、偶然近くの住宅地で見かけた三浦さんを刺殺したと見られている。



 http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200803250336.html




 といったように、ゲーム、若者無業者、ケータイサイトに関連づけた報道が多くなってきました。



 たしかに、それらの要素は事実なのかもしれません。しかし、ゲームがどの程度、人の行動に影響を与えるのかは、まだ科学的にはわかっていません。「ゲーム脳」といった話もありましたが、現在では、「とんでも科学」扱いになっています(ただ、信じてしまう人も多いとは思います)。



 こうした事件が起きるたびに、ゲームと事件の関連性を指摘されることがあります。実際にはどうなんでしょうか。



 この問題は、拙著「気をつけよう!ゲーム中毒」(汐文社)でも取り上げました。ゲームと行動変容については、まだまだ研究が途上ですので、はっきりとした見方はありません。



 ただいえることは、



 ・「暴力行為を見て、まねをすることで、攻撃行動を学習する」という考えは、8歳以下の子どもには当てはまる、ということがアメリカでは支持されている。

 ・「暴力的なテレビゲームをした後では、攻撃思考になりやすい」というのは、大学生を実験参加者とした場合は、支持されている。

 ・「暴力描写によって暴力的になった」というのは、テレビゲームでは支持されていない。

 ・「暴力的なゲームで遊んだグループでは、攻撃行動を抑える」という考え方は支持されていない。



 しかし、それらはゲームの内容や参加者の年齢、性別によっても異なる。



 ということです。