硫化水素自殺で

若者たちはなぜ自殺するのか

若者たちはなぜ自殺するのか

渋井 哲也



 まずは、硫化水素で亡くなった中学生にご冥福をお祈りいたります。また、巻き添えにあった人たちにはお見舞い申し上げます。報道によってその人数が変わっているのは時間によってその対象が変わっているためでしょう。



 しかしながら、硫化水素という手段に注目するだけで、なぜその人たちが自殺するのかを考えなければならないのに、そうした報道はなかなか見つかりません。見つかったとしても、子どもの場合、いじめがあったかなかった、といった報道のみ。



 自殺したいと思ったとき、自殺が頭に浮かんだとき、周囲に悩みを打ち明けられるといった人間関係があるのかどうか。また、そうした人間関係の有無にかかわらず、相談窓口が身近になっているのかどうか。当事者にとって「最前の利益」になる方向で考えているサポート役の人はいるのでしょうか。あるいは、ソーシャルワークがうまくいっているのか。



 様々な視点で点検しなければならないはずなのに、「この自殺の方法はいけない」「方法を教える人が許せない」といった感情的な言動がメディアで流れるだけです。もちろん、そうした感情的な言動をとってしまうことは、仕方がないと思います。しかし、それだけが流れることがかえって逆効果なのではないでしょうか。





集合住宅で硫化水素自殺? 中学生死亡、住民70人診察

2008年04月24日01時33分



 23日午後7時45分ごろ、高知県香南市香我美町徳王子の市営住宅「ハピネスかがみ」(5階建て)の住民から「卵が腐ったようなにおいがする」と110番通報があった。県警機動隊員が3階の一室に入ったところ、浴室に若い女性が倒れており、その場で死亡を確認した。





近くの体育館に避難した市営住宅の住民=香南市香我美町徳王子



 県警や消防などによると、硫化水素自殺の可能性がある。市営住宅の住民約20人が頭痛などを訴えて救急車などで病院に運ばれ、うち1人は重症という。ほかに住民約50人が医療機関で診察を受けた。また、約70人が近くの体育館に避難した。



 県警の調べでは、亡くなったのはその部屋に住む女子中学生で、母親と2人暮らし。当時、母親は仕事で外出していたという。



 市営住宅5階に住む女性(25)によると、自宅に来ていた姉が帰宅する際、異臭がすると訴えた。一緒に3階に下りると、一室のポストに「毒ガス発生中。扉に触らず警察に通報して下さい」と赤いフェルトペンで書かれた紙が挟んであった。110番すると同時に、その部屋に住む母親に連絡。駆けつけた母親らと玄関を開けたところ、強い刺激臭がしていて浴室に娘が倒れていたという。部屋から出た途端、姉は倒れ、救急車で運ばれた。重症だが、意識は戻っているという。



 現場は高知空港から東に約6キロ。図書館や体育館などが立ち並ぶ一角で、市営住宅は2棟が隣接して立っている。



 http://www.asahi.com/national/update/0424/OSK200804230111.html
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