吉井怜『神様、何するの…?白血病と闘ったアイドルの手記』(幻冬舎

 気にはなっていた本ですが、まだ購入していません。突然白血病となったグラビアアイドルの手記で、テレビドラマ化され、放映されました。仕事中に倒れ、急性骨髄性白血病と診断される。完治のためには、骨髄移植しかない。運良く母親との骨髄のタイプが一致した。しかし、そのためには不妊になる。迷いの中での、骨髄移植の決断をする。そして副作用…。

 テレビドラマ「白血病と闘うアイドルを支えた周囲の人々の愛 」と題されて、フジテレビでオンエアされた。怜(宮地真緒)は急性骨髄性白血病と診断される。母・幸子(田中好子)らの配慮で白血病と知らずに入院する。芸能事務所専務・小野木(小野武彦)も怜の復帰を待つと約束をする。
 入院生活の不安から、母親の面会も一時は拒否的になる。さらに無菌室では「動物園のパンダ」になった気分になる。周囲にどう見られているか、というアイドル特有の自意識も手伝って、不安定感を助長させていく。そのイライラや不安を母親にぶつける。
 「私は、神様に要らない、って言われちゃったんだよ。お願い助けて!」
 母親に助けを求めるが、医療的なことはどうすることもできない。母親もお百度参りするしかない。髪が抜けるなどの抗がん剤の副作用に耐えた怜は、1か月後、自分の病名を知る。
 「白血病は治るんだよ」
 という主治医の言葉を信じた怜は、明るさを取り戻す。

 アイドルというアイデンティティ、希望が怜の気力を支えるが、K-1アンディ・フグが怜と同じ病気で急死する。再び不安が襲う。仕事への焦り。しかし、再び、治療への肯定的な考えが出てくる。友人と日常を過ごすなかで気力が湧いてくる。

 そうした怜の気力は、やはり芸能界復帰という目標、希望があったためだろう。そして、家族や仕事仲間からも支えられていた。そうした個人的な環境が影響したのだろう。同じ状況で、そこまで「生きる希望」を失わずにいられるだろうか、と自分の置き換えると、なかなかできないなと思える。

 自意識の強さだけでは説明できない生きることへの執着。生きることへのこだわり。そうした生きることへの考え方が、病気になる以前の怜の中にあったのではないか。そう思えてならないのだが、ドラマの中では、それは描かれていない。生きることそのものへの肯定観。もしそうした気力の背景に何かがあるのなら、私はそれに興味がある。