ガメラ

タイトル 小さき勇者たち〜ガメラ〜

少年とガメラの心の交流、成長を描いたジュブナイル・ファンタジー





 33年前に自爆したガメラが産み落とした?と思われる卵から、子ガメラが産まれる。その子ガメラに、見つけた少年は「トト」と名付ける。「トト」は、交通事故でなくなった母親が少年をそう呼んでいたことから名付けた。



 少年は「トト」を大事に育てる。しかし「トト」は急激に成長を遂げる。危険だと思って捨てに行くが、どうしても捨て切れずに持ち帰ってしまう。そこで、何がなんでも育てるんだと決意する。友人たちも、その「トト」育ての秘密を共有する。が、大きくなりすぎて、少年の部屋では飼えなくなり、秘密基地に。子どもの成長に必要な、子ども同士の「秘密の共有」なんかは、子育ての中で、大人達が忘れてしまっている。



 その後、巨大化した「トト」は、急に襲ってきた巨大怪獣と戦うことになる。日本政府も「トト」をガメラと認定し、巨大怪獣と戦わせる。しかし、まだ子どもの「トト」には、お守りが必要だった。そのお守りを届けるために、リレー方式で子ども達が届ける。そのシーンは、泣かせ時をわかっていながらも、泣いてしまった。何も台詞のない子ども達が、「トト」へお守りを届けることを感じる無言のリレー。言葉はなくても、メッセージというのは伝わる。



 そして、少年は「トト」にお守りを渡す。しかし、33年前に自爆したガメラの二の前になるのではなく、「生きるため」に、強くなって巨大怪獣を倒すために、お守りを渡すのだ。

 巨大怪獣を倒した後、日本政府は自衛隊を使ってガメラを捕獲しようとする。そのとき、無言のリレーをしてきた子ども達が立ちはだかる。



 「絶対忘れない」



 そう言って、少年はガメラを逃がす。

 ある意味で、ペットとの別れ、あるいは、人との別れは、いつか訪れる。好きでも別れなければならないときがある。そんな別れを積極的に決意することも必要なのだろう。



 ただ、この作品、ガメラ作品としてみると、リアリティーに欠ける。

 これまでリアリズムを積み上げてきた「平成ガメラ」3部作の続編という視点から見ると、駄作ではある。