自ら笛を鳴らすな

 MFの中田や中村が影響された「キャプテン翼」の中で、大空翼が南葛FCの頃、試合に負けそうな時、チームメイトに、「ゲームは終わっていない。まだロスタイムがあるよ」等と言っていたような気がする。



 翼は、最後まで試合を諦めないサッカー少年だった。と同時に、数秒あれば1点を取れることも知っていた(逆に、数秒あれば1点取られることでもある)。諦めることはいつだってできるが、諦めたら勝利は手に入らない。そんな漫画・アニメに影響されたのが、いまの日本代表の世代。オーストラリアだって、クロアチアだって、ブラジルだって、今後、どういう状況になるのか、どんなモチベーションになっていくのか。分からない。



 たしかに、オーストラリア戦では、ジーコの采配ミスはあったと思う。しかし、監督の采配だけで勝敗は決まらない。そのことは私もよく知っている。中学3年のとき、野球部の監督は野球の素人だった。作戦なんか、それほどわからない(だからこそ、私がエースなのにもかかわらず、打順で一番を願い出て、それが叶っていた面もあった)。そんなチームが地区大会で準優勝し、数年ぶりの県大会出場を果たす。



 ロスタイムの笛が鳴るまで、何があるかわからない。翼くんに影響を受けた世代にも、そんなモチベーションを持っていることを期待したい。そして、そんな選手たちは、プロである以上、観客に見せるサッカーもしている。客が諦めてしまっては、モチベーションも下がってしまうだろう。



 自ら、笛を鳴らすな。